コラム・企業法務相談室

会社法,商取引法,M&A・事業承継,倒産・再生,IT・知財,労働法,公益通報・コンプライアンス等について,企業法務を取り扱う弁護士が豊富な実務経験に基づき解説しています。

> 2014/02/07 商取引

食品表示における景品表示法上の留意点

Q 当社は食品製造業者ですが,昨今問題となっている食品表示に関して,どのような点に気を付けたらよいでしょうか。

A 食品表示等商品の品質や価格についての情報は,消費者が選択する際の重要な判断材料になりますので,それらが実際よりも著しく優良又は有利であると見せかける表示が行われると,消費者の適正な判断を妨げることになります。そのような表示を防ぐため,不当景品類及び不当表示防止法(以下,「景品表示法」という)では,消費者に誤認される不当な表示が禁止されています。

そのため,表示をする際,景品表示法で禁止されている「不当な表示」とならないように注意する必要があります。

景品表示法において規定されている「不当な表示」とは,
①優良誤認表示(法4条1項1号)
②有利誤認表示(法4条1項2号)
③商品・サービスの取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがあると認められ内閣総理大臣が指定する表示(法4条1項3号)
の3つの表示です。

①優良誤認表示とは,商品・サービスの品質,規格その他の内容についての不当表示であり,ⅰ)内容について,実際のものよりも著しく優良であると一般消費者に示す表示,ⅱ)内容について,事実に相違して競争事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であって,不当に顧客を誘引し,一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められる表示を指します。

例としては,国産有名ブランド牛の肉であるかのように表示して販売していたが,実はブランド牛ではなかった場合等が挙げられます。

②有利誤認表示とは,商品・サービスの価格その他の取引条件についての不当表示であり,ⅰ)取引条件について,実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示,ⅱ)取引条件について,競争事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であって,不当に顧客を誘引し,一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められる表示を指します。

例としては,「今なら半額!」と表示していたが,実際は常にその金額であった場合などが挙げられます。

③法4条1項3号に基づき現在指定されている表示は以下の6つの表示です。

これらについては,別途不当な表示になる場合が規定されています。

     
  • ・無果汁の清涼飲料水等についての表示
    (昭和48年3月20日公正取引委員会告示第4号)
  •  
  • ・商品の原産国に関する不当な表示
    (昭和48年10月16日公正取引委員会告示第34号)
  •  
  • ・消費者信用の融資費用に関する不当な表示
    (昭和55年4月12日公正取引委員会告示第13号)
  •  
  • ・不動産のおとり広告に関する表示
    (昭和55年4月12日公正取引委員会告示第14号)
  •  
  • ・おとり広告に関する表示
    (平成5年4月28日公正取引委員会告示第17号)
  •  
  • ・有料老人ホームに関する不当な表示
      (平成16年4月2日公正取引委員会告示第3号)
  • →変更 平成17年6月29日公正取引委員会告示第12号
    平成18年3月3日公正取引委員会告示第4号
    平成18年11月1日公正取引委員会告示第35号

上記①~③のいずれかに該当するような不当な表示がなされている場合,当該行為を行っている事業者に対し,不当表示により一般消費者に与えた誤認の排除,再発防止策の実施,今後同様の違反行為を行わないこと等を命ずる「措置命令」が出されます(法6条)。
そして,当該命令に違反した場合,罰則があります(法15条)。

なお,昨年問題となったホテルにおける食品表示の偽装に関しても,上記①優良誤認表示,上記③のおとり表示として,措置命令が出されました。
(消費者庁HP http://www.caa.go.jp/representation/pdf/131219premiums_1.pdf)


田島・寺西・遠藤法律事務所


このコラム執筆者へのご相談をご希望の方は,こちらまでご連絡ください。

このコラム執筆者へのご相談をご希望の方は,こちらまでご連絡ください。※ご連絡の際には,コラムをご覧になられた旨,及び,執筆弁護士名の記載がある場合には弁護士名をお伝えください。

直通電話 03-5215-7354

メール   advice@tajima-law.jp





『企業法務診断室』では、田島・寺西法律事務所所属弁護士が、豊富な実務経験に基づきよくある相談への一般的な回答例を紹介しています。
事案に応じたピンポイントなご回答をご希望の方は、面談での法律相談をご利用ください。

遠隔地の方でもZOOMにて対応しています。


« 戻る