コラム・企業法務相談室

会社法,商取引法,M&A・事業承継,倒産・再生,IT・知財,労働法,公益通報・コンプライアンス等について,企業法務を取り扱う弁護士が豊富な実務経験に基づき解説しています。

> 2013/12/16 企業経営

自転車利用者対策に関する道路交通法一部改正

Q 当社は運送業を営んでいますが,自転車利用者対策として道路交通法が改正されたと聞きました。改正のポイントを教えて下さい。

A

自転車が関与した交通事故の増加を受けて,道路交通法の一部が改正され,自転車利用者対策の推進に関する規定が整備され,平成25年12月1日から施行されました。

自転車利用者が特に留意する必要がある主な改正点は次の2点です。

まず,自転車を含む軽車両が通行することができる路側帯は,道路の左側部分に設けられたものに限られることとなりました(法17条の2第1項)。

これまで,自転車は,著しく歩行者の通行を妨げることとなる場合を除いて,道路の左右どちらの路側帯も通行することができましたが,今回の改正により,通行できる路側帯は,道路の左側のみとされました。

これに違反した場合には,3月以下の懲役または5万円以下の罰金が科される可能性があります(法119条第1項1号の2,法8条1項)。

次に,自転車の検査等に関する規定が整備され,警察官は,制動装置不良自転車と認められる自転車が運転されているときは,当該自転車を停止させ,当該自転車の制動装置について検査することができるようになりました(法63条の10第1項)。

警察官の停止の指示に従わなかったり,検査を拒み,妨げた場合には,5万円以下の罰金が科せられる可能性があります(法120条第1項8号の3,法63条の10第1項)。

また,検査の結果,必要に応じて道路における危険を防止し,その他交通の安全を図るため必要な応急の措置をとることを命じ,必要な整備をすることができないと認められる場合は,当該自転車の運転を継続してはならない旨を命ずることができるようになりました(法63条の10第2項)。

これらの命令に従わない場合にも,5万円以下の罰金が科される可能性があります(法120条1項8号の4,法63条の10第2項)。

なお,自転車の制動装置の基準は,前車輪及び後車輪を制動し,乾燥した平坦な舗装路面で,時速10キロメートルのとき3メートル以内で円滑に自転車を停止させる性能を有することと定められており(道路交通法施行規則9条の3),かかる基準に適合しない自転車は「制動装置不良」と評価され得ることになります。

法令の規制は以上ですが,実際に交通事故全体に占める自転車関与事故は,全国で約20%,東京都内では約36%に上ります(警視庁HP参照)。

運送事業を行う立場としても,法令改正だけで安心できるところではなく,むしろ誰もが容易に利用し得る自転車だけに,加害者にも被害者にもならないよう,利用者各人が自転車は「車両」であることを改めて自覚し,ルールを遵守して,安心して通行できる安全な道路交通を実現したいところです。


田島・寺西・遠藤法律事務所


このコラム執筆者へのご相談をご希望の方は,こちらまでご連絡ください。

※ご連絡の際には,コラムをご覧になられた旨,及び,執筆弁護士名の記載がある場合には弁護士名をお伝えください。

直通電話 03-5215-7354

メール   advice@tajima-law.jp







『企業法務診断室』では、田島・寺西法律事務所所属弁護士が、豊富な実務経験に基づきよくある相談への一般的な回答例を紹介しています。
事案に応じたピンポイントなご回答をご希望の方は、面談での法律相談をご利用ください。

遠隔地の方でもZOOMにて対応しています。


« 戻る